本当は仲良くあそびたい
もくじ
「本当は仲良くあそびたい・・・」
「つい嫌な言葉をいってしまう・・・」
「思い通りにならないと怒ってしまうんだ・・・」
こんなお悩みはありませんか?
僕が関わってきた子どもの中に「本当は仲良くしたいのに、できないんだ・・・」と伝えてくれた子が何人かいました。こだわりや友達との距離感がつかめなくてトラブルになることがよくありましたが適切な支援とお互いの理解があれば友達とも一緒に遊んだり、勉強したりすることができます。
うちの子も大丈夫ですか?
きっと大丈夫ですよ
家族の構成
お母さん
たける 君 (仮名)(4年生) 支援学級に在籍
さんちゃんに出会う前
たける君は友達と「仲良くしたい」という気持ちが強いお子さんでした。気持ちが安定しているときはクラスでも一緒に関わることができまた。
友達とも「ドッジボール」や「鬼ごっこ」をして遊ぶことができていました。
その一方でたける君の「思い通りにならい状態」があると気持ちが不安定になり友達に対してちょっかいを出したり言葉が悪くなったりすることがありました。
僕は間違ったことはしていないよ!
話を聞かせて
- 友達の「筆箱」が気になり中身をかってにとってしまう。
- グループ活動でかってな行動を取ることでを注意されると急に怒りだしてしまう。
- 給食当番・掃除係を何度も忘れる、気分でやらないことがある。
- みんなで遊んでいるときに気にいらないことがあるとやらない。
- 自分の都合の良いようにルールを変えることがある。
- 思い通りにならないと、手がでることがある。
たける君の様子を観察すると、彼なりのルールがあることが分かってきました。
たける君の様子と本当の気持ち
たける君との対話の時間をふやすことで、彼の本音が聞こえてきました。
本当は友達と仲良くしたい。でもできない・・・
イライラすると勝手に体が動いてしまうんだ・・・
小学3年生まではクラスで「音楽」、「体育」、「図工」といった教科は支援員さんのサポートを受けながら3年生のクラスに参加できていました。
しかし3学期頃より「みんなと一緒に参加したくない」とい言葉が多く聞かれるようになってきました。
また体育では「リレー」の時に走る順番を守らなかったり、「やりたくない!」と大声で言い授業を抜け出すことが増えていきました。
先生や友達が「一緒にやろう!」と誘っても物を投げるなどして授業に参加できないことがありました。
ドッジボールなら参加する!
勉強はやりたくないだよ
今はやりたくない感じがするんだね。
たける君の学習を観察すると2年生程度の学習と、3年生の基本的な課題は取り組めていました。しかし4年生の学習になると
つまらいない
めんどくさいな
僕は勉強はしたくない!
3年生まで参加していた「図工」、「音楽」、「体育」も参加を渋ることが多くなっていました。「ドッジボールなら参加する!」ということもありました。観察から分かったことはたける君自身が4年生の勉強に対して「難しい」と感じている様子でした。
たける君自身からも
「難しい」
「俺にはできない」
「やりたくない」
という言葉が多く聞かれるようになりました。彼なりに「できない自分」と「できている友達」とを比較して「できていない自分」に悔しい気持ちを感じているようでした。
たける君と休み時間にボール投げをして遊んでいたときです。友達が投げたボールがたける君の顔に当たってしまいました。それに怒ったたける君は友達に「お前ぶっ飛ばす!」と言いつけそのまま友達の頭を殴ることがありました。
トラブルの直後はとてもイライラしていましたがクールダウンした後に、私と話を友達を叩いてしまったことを振り返ると
「本当は友達と仲良くしたい」
「でも体が動いて叩いてしまうんだ」
「僕は悪いこなんだ」
という気持ちを伝えてくれました。
友達と仲良くしたい。しかしうまくいかない彼の気持ちは、とても「もどかしい」はずです。
その「もどかしさ」を生み出しているのは2つの理由があると思います。
- 自分の都合の良いルールをや解釈を友だちに押し付けてしまう
- たける君が持つ特性や困り感を周りの友達に理解されにくい
「私も同じだよ」とつぶやく子
クラスの友達にもたける君の事を、もっと知ってもらいたいな
きっと伝わるよ
たける君の個性や特性をもっと知ってもらいたいと思っていました。
4年生担任の先生、たける君の保護者、たける君本人と相談をした上でクラスの仲間にたける君の事を伝えにいきました。
たける君の素敵なところ
クラスの友達と仲良くしたいこと
素直になれないこと
クラスの仲間は真剣に僕の話を聞いてくれました。
うなずきながら聞いてくれる子
真剣な眼差しで聞いてくれる子
「僕も同じだよ」とつぶやく子
私も同じだよ
たける君を想う気持ちがクラスに溢れていました。この子ども達なら大丈夫。
きっとたけるくんを理解してくれると思いました。
そしてたける君も今まで以上に4年生の仲間を大切にできると感じました。
さんちゃん、これならできそな気がする
友達と仲良くしたいけどできるかな?
きっと大丈夫だよ。一緒に考えていこうよ
たける君とのは話し合いのなかで気づいたことがありました。それは友達との関わりや学習に対して「思い通りにならない状況になるとイライラする」ということ。
だからこそ、イライラを感じたときの対応方法について話し合いを繰り返しました。
- 交流は自分で決めて参加する
- 気持ちが「イライラ」しだしたら場所を変える
- クールダウンの方法を見つける
- 絵に書いて気持ちを整理する
- 困ったことがあったら先生に相談する
それでは1つずつ見ていきましょうー
- 「体育は15分参加する」など本人が決めて行動する
- 4年生の学習とたける君の興味が合うように教材を工夫しました。
またできるだけ複数の教材を用意して本人に選べるようにしておきました。
- 「落ち着ける場所」に移動することをしました。例:「図書室」、「支援学級」
- 気持ちが不安定になった時に自分で気持ちを整える方法を試しました。
「本を読む」、「深呼吸」、「紙を破る」、「イラストを描く」など。
- 「不安」になることや「苦手なこと」、「分からないこと」があると気持ちが不安定になることが多くあったので、「いつでも先生に相談してね」と伝えていました。
さんちゃん、これならできそうな気がする
お母さと考えたアイデア
お母さんはとても悩んでいました。
たける君が友達に手をだすことで怪我をしないかを心配していて、最善の努力をしているのにも関わらず、たける君が友達を叩いてしまうことが本当に辛そうでした。
ますはお母さんの気持ちを大切にしていきたいと考えまていました。その上でたけるくんの「良いところ」を見つけるこようにしていきました。
友達と仲良くしてほしいけど、どうしたらいいのでしょか?
一緒に考えていきましょうね
お母さんとの面談を繰り返し気持ちが安定してくると、たける君の良いところに目が向くようになりました。そして彼の良いところを一緒に伸ばして行くことをお母さんと共通理解しました。そして一緒にたける君のためにできるアイデアを考えました。
- できていることから認めていく
- お母さん自身をねぎらう
- 情報の交換をする。
- 必要に応じて医療機関との連帯
1つずつ説明していくね。
- 「できていないこと」、「足りていないこと」ことよりも、「今できている」ことに目を向けていくようにしました。
- たける君のお母さんは友達とのトラブルがあるとご自身を責めることがよくありました。なので「お母さんはいつもベストを尽くしている」ことを伝えご自身を労ってほしいことを伝えました。
- 可能な範囲で家や学校での様子を共通理解できることでをお願いしました。
- 衝動性が強い行動(叩く)、(暴言)があったので医療との連帯をすることで、お母さんのサポーターを増やす事を提案しました。
できる範囲で取り組みますね。
もちろんです。お互い無理なくいきましょう。
めんどくさいけどやるよ。やればいいんでしょ。
たけるくんはどうなったの?
たける君のペースで成長しているよ。
たける君との関係作りは「ゆっくり」でした。焦っても関係が崩れてしまうので土台を作るためにじっくりと向き合っていきました。そして少しずつ彼の「気持ち」と「行動」が変化しはじめました。
面倒くさいけど、やるよ。やればいいんでしょ
「やりたくない!!」と言っていたことも「面倒くさいけど、やるよ。やればいいんでしょ!」と言う言葉が出てきたんです。
僕はこの変化がすごく嬉しくてたまりませんでした。
そんな様子を見てクラスの友達も「たける、がんばっているよね」と彼を認める場面が増えていきました。その言葉を聞いた彼の恥ずかしそう、でも嬉しそうな表情は忘れられないですね。
たける君、がんばっているね
クラスの友達と同じ場で勉強したり、「鬼ごっこ」などをして遊んだりする時間がすこしずつ増えてきました。友達に対して感情を調節できない場面はあるものの彼なりにイライラを調整しようと「その場から離れる」といった行動も見られるようになってきました。
クラスの仲間の1人としてたける君がいる。
僕はすこぐ嬉しかったんです。4年生の担任の先生もたける君を暖かく受け入れる教室作りをしてくれました。みんなが1人の子の事を思い、1人がみんなの事を思うそんな場所でした。
クラスの友達とも一緒にかかわることが増えてうれしいです
お母さんはたける君がクラスの仲間と一緒に過ごすことが、多くなったことをとても喜んでいました。学校でのトラブルについても情報交換をするようにしていました。
情報交換を定期的にすることでお母さん自身の内面にも、意識が向かうようになっていたようでした。
家でもたける自身がイライラすることが少しずつ減ってきました。
クラスの友達とも一緒に関われることが増えてうれしいです。
私自身がいっぱいいっぱになっていました。
そんな時にトラブルも多くなっていたとお思います。
焦らずゆっくり取り組んでいきましょう。
まとめ
こども達の個性は十人十色。
それぞれの個性をお互いが分かろうとした分だけ、絆は生まれるのかもしれませんね。
そんな事を教えてくれる出来事でした。
こんな事をはなしたよ〜。
- 友達ができづらい理由について
- 友達との関係を良くするためにしたアドバイスとは?
僕で良ければ相談に乗ります。友だち追加⇒相談希望」とメッセージくださいね。
さんちゃん、 先生やめて何しているの?
17年間の公務員から退職。 妻子ありなのに、なんでまた?
現在はコーチングの他にも『PANZ FACTORY』の工員
子ども達と山で泥んこまみれの『原っぱ大学』のスタッフ
子どもたちと焚き火を囲む『焚き火の時間』主宰として活動中
さんちゃんの詳しいプロフィール
17年間公立小学校の先生として勤務。10年以上、発達特性のある子どもたちと関わってきた経験を生かし『子どもも大人も自分らしく表現できる世界を作ること!』をミッションとして活動中。2022年よりオンライン×リアル家庭医教師「MANABI・マナビー」主宰。強制や指導ではなく「対話でじっくり関わること」を重視。誰もが持つ素晴らしい個性を活かし、子どもと保護者の笑顔が増える瞬間を大事にしている。
その他、親子の遊び場「原っぱ大学」、アイアン工房「PANZ FACTORY」など教員の枠を超えて大切な仲間と充実した毎日を送る。同年8月より、逗子オルタナティブスクールプロジェクトに参画。
詳しいさんちゃんのプロフィール