何度も同じことを伝えても覚えられなかったあの子が、忘れずに行動できるようになるシンプルなコツ

自己紹介

17年間公立小学校の先生として勤務。10年以上、発達特性のある子どもたちと関わってきた経験を生かし『子どもも大人も自分らしく表現できる世界を作ること!』をミッションとして活動中。2022年よりオンライン×リアル家庭医教師「MANABI・マナビー」主宰。強制や指導ではなく「対話でじっくり関わること」を重視。誰もが持つ素晴らしい個性を活かし、子どもと保護者の笑顔が増える瞬間を大事にしている。

その他、親子の遊び場「原っぱ大学」、アイアン工房「PANZ FACTORY」など教員の枠を超えて大切な仲間と充実した毎日を送る。同年8月より、逗子オルタナティブスクールプロジェクトに参画。

詳しいさんちゃんのプロフィール

今日は子どもに話すときに、僕が大切にしていることがあるのでお伝えしますね。

お子さんに2回、3回と説明をしているのに伝わらないことがありませんか?
その度に始めから説明するのですが、伝わらないとイライラしていませんか?

もしそうだとしたら、お役に立てると思います。
今いている方法をやめて、別の方法でためしてみませんか?
とても簡単で誰にでもすぐにできるのでオススメです。

それは「伝えることを少なくすること」です。

こんな人に読んでほしい
  • 何度も説明をしているのに覚えられない
  • 複数の指示を覚えられず不安になってしまう
  • 忘れ物が多い、無くし物が多い

何度も説明しても伝わらないことがあります

同じことを何度も言うのが疲れちゃいます。

僕も同じ気持ちでした(^_^;)

先生になって2年目のころ、覚えるのが苦手なお子さんがいました。その子は僕が話し終えると周りをキョロキョロしながら、友達のマネをすることが多くありました。
その場では「分かってるから」と返事をするのですが、少し時間がたつと「何すればいいの?」という不安そうな表情になることがよくありました。
当時の僕はなんとか力になりたいと思っていて、「繰り返し伝えれば理解してくれるはず」と思いこんでいました。しかし状況はあまりかわらず、キョロキョロと周りを見て、友達のマネをすることが多くありました。

お子さんと関わって分かったのは一度の説明で覚えられる子がいる一方で、同じ説明を何度聞いても覚えられない子もいることでした。

何か良い方法はないでしょうか?

よい方法があるので紹介しますね

記憶には2種類ある

記憶には大きく2種類あると言われています

えっ、知らなかった

まず記憶と呼ばれるものは2種類あります。

記憶の種類

短期記憶
数分から数時間の保持される記憶のこと。
最近の研究では、4個程度が限度とい われています。
新しい漢字・新しい友だちの名前・電話番号・テレビ番組のタイトルなど

長期記憶
数時間・数日・数年という長い期間保持される記憶のこと。
自転車の乗り方・家までの帰り方など

好きなラーメン屋さんまでの行き方は長期記憶だね

シロクマくんは、忘れなそうだね。。。

言われたことを行動に結びつけるワーキングメモリ

覚えた記憶を行動に、結びつけるものがあります

ワーキングメモリとは

記憶したことを一時的に保存して行動に結びつけること。
そこで役に立っているのがワーキングメモリです。
ワーキングメモりとは、覚えたことを行動に結びつける働きのことです。

大人も子どもも、日常生活の多くの場面で活用しています

頼まれたパンを買いに行くときもつかっているんだね

明日の持ち物を忘れずに、用意するときも使っているよ


子どもたちの学校生活で具体的な場面を考えてみましょう。
例えば「3+5+2=10」という問題がでたとします。頭の中では3、5、2という数字を記憶し、記憶した3つの数字を足し算をする(行動に移す)といった作業が必要になります。
このとき覚えた「3・5・2」の数字を一時保存して、足し算する作業が「ワーキングメモリ」記憶の作業台といったところですね。子どもたちは「記憶しておく+記憶したことを行動に結びつける」といった作業が必要になります。日常の生活など全てに関わってきます。

例えば台所で料理をするときを想像してみてください。
せまい台所と広い台所では、作業しやすいのはどちらでしょうか?
だんぜん広い台所ですよね。
せまいと材料をおく場所が限られます。整理が苦手だと「お肉どこにやった???」
「塩どこいった〜!!」とかとか。探しものが多くなり、料理どころではないことも。

ワーキングメモリの容量が少ないから、悪いということではありません。
さらに、お子さんや保護者の方の育てが悪いなんてこともありません。
何度も同じ説明をしていのに分かってくれないと思うと、ついつい怒ってしまうことがあると思います。しかしその思いの先にはお子さんが大切で愛おしいからだと思います。
覚え方にもお子さんそれぞれの、個性があることを知ることで見え方が変わってきます。

きっと良くなりますから、大丈夫ですよ

子どもたちが持っている個性は脳にもある

脳にも個性があるんですね。

その子の個性に応じて対応を考えていけば大丈夫ですよ

子どもたちの脳の作業台=ワーキングメモリの広さにも個性があります。
広い子もいれば、そうでない子います。僕は先生だったときに、たくさんの子ども達と関わってってきました。言われたことをすぐに行動できる子。不安な様子で何度も聞き返しにくる子。
質問すること自体が不安な子もいました。
僕はとくに何度も聞き返しにくる子や、不安な子に目をむけていました。
なぜなら、行動が遅くなりがちだから。
やることが遅くなると時間に追われて作業が雑になったり、時間内に終わらないことが続くと
お子さんによっては苦手意識をもったり、自己肯定感を下げることにもなりかねないからです。
子どもたちは誰もが、素敵な個性をもっています。特に苦手意識を感じている子にとって安心できる環境をりたいと僕は思っています。

子どもたちは、みな素敵な個性をもっているからね!

さすが、シロクマ君!良いこと言う!

具体的な取り組み

ここでは僕が実践してきて効果のある方法をお伝えします。
いろいろ取り組んできたなかで、効果のあったものを3つ選んで紹介します!

だれにでも簡単にできます!

伝えたいことは、少なくシンプルに

まずはこの文章を読んでください。
「家に帰ったら手洗いうがいをして、それから着替えは自分の部屋でしてね、着替えたらすぐにランドセルを片付けて、遊びに行く前に宿題をやるんだよ。」
いかがでしたか?たくさんの指示(子どもにやってほしいこと)があります。

子どものことを想って伝えたい気持ちは良くわかりますが、覚えるのが苦手なお子さんからすると指示が多すぎます。
そこで「1つの指示が終わったら、次の指示を出す」ことがオススメです。
例えば「うがいをするよ」→「自分の部屋で着替えをするよ」→「ランドセルをかたづけてね」→「宿題をやろうね」→「遊びにいっていいよ」お子さんのようすに応じて指示(子どもにやってほしいこと)の数は変えてくださいね。
僕は1指示ずつ出すのが大変なときは、やることが分かるように順番を書いておくこともしました。

お子さんに応じて、指示の数は変えていくことがオススメします。

していること、やることが分かるようにする

時間に余裕があるときには指示を細やかに出すことができますが、クラスの中で指示を細かくだすことは難しいことがあります。そこで学校の先生にも相談をしてお子さんにとって「今何をしているのか」を分かる状態にしてもらうことをオススメします。
例えばノートをとるのか?教科書の何ページを見るのか?といったことを分るようにしてもらいます。僕は黒板に読んでいるページを書いたり、授業のパターンを同じように組み立てたり見通しを持てるように意識していました。
そうすることで「どこのページを読んでいるのか?」「今何をすれば良いのか?」かが理解しやすくなります。
お子さんによってはやることの流れ全体がわかった方がよい子もいれば、今やることだけ分かればいい子もいますのでお子さんの個性に応じて調整するのがいいと思います。

一人に分かりやすくなれば、みんなにも分かりやすくなるしね

忘れ物が多いときには〇〇を工夫しよう

忘れ物が多いときには連絡帳を工夫していました。
連絡帳に書くこと自体を少なくしたり、持ち物リストを作って子どもと一緒に確認したり、連絡帳をとるのが苦手な子は持ち物にチェックをするだけにしたり。
タブレットなどのカメラ機能を使って、家でチェックするのも良いかもしれません。


僕が大切にしていたのは子どもと話し合って、子どもなりの対策を立てて実行することをしていました。子どもとアイデアを出し合って「どうしたら忘れ物をへらせるか?作戦をたてよう!」とアイデアを出し合いました。
手に書いたり、替え歌にしたり。持ち物を書いた紙を帽子の中に入れて、持ち帰るなどの面白いアイデアを思いつく子もいました。
子どもたちは自分たちでいろいろ考えます。そしてうまくいったときには「やった!」と喜びを分かち合っていました。忘れ物をすること自体はいけないことかもしれない。でも「どうしたら楽しく解決できるか?」そんなことをどこかで感じてほしいと思っていました。

もう一つだけ僕が大切だと思うことがあります。それは「忘れ物をした後のこと」です。
忘れ物がなくなるようにすることも大切ですが、忘れ物をしてしまったときの対応も立てておきたいと思っています。忘れ物することで「僕なんてだめだ」、「また同じことしてしまった」と自己肯定感が低くならないようにしたいですよね。
忘れ物をして反省するのは大切です。さらには忘れないことが大切です。
しかし忘れ物をしたから「授業がうけられない」「罰を与える」のではなく、忘れ物をしたときに「次はしないようにどうするのか?」という視点を、子どもたちにもってもらうことが大切だと思っています。

忘れ物をしたくて、することはないしね。

良いこと言うね!

良くなってもらいたいからこその想い

ボクは覚えることが苦手なお子さんにも、一度に多くのことを伝えていました。
親になってからの僕も同じことをしていました。なぜなら、それは子どもたちに良くなってもらいたい想いがあったからです。しかし、うまくいかなくていつも空回りして悩んでいました。

悩みながらも一度に多くのことを伝えたい理由は、忙しい時間をなんとかやりくりして、大切だと思うことにも時間を使いたいと思っていたからでした。
全ては目の前にいる子どもの笑顔を見たいからだと思うんです。だからこそ1度に多くのことを伝えているんだと思います。

同じ愛からの行動でも、お子さんの個性に合っていなければ想いは届きません。
あなたの愛が目の前のお子さんに、届くための参考になれば嬉しいです。

きっと、あなたの愛は届きます!

まとめ

今日のまとめです

今日お伝えしたこと
  • 何度も説明をしているのに覚えられない理由
  • 記憶の種類とワーキングメモーリーについて
  • 忘れずに行動に結びつける具体的な方法

さんちゃん、 先生やめて何しているの?

17年間の公務員から退職。 妻子ありなのに、なんでまた?

現在はコーチングの他にも『PANZ FACTORY』の工員
子ども達と山で泥んこまみれの『原っぱ大学』のスタッフ
子どもたちと焚き火を囲む『焚き火の時間』主宰として活動中

さんちゃんの詳しいプロフィール

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